何も映さない……無限の空間に……少年は存在した。

少年の体は、ドス黒く血に染まっており、その隣りには寄り添うように、白い毛の大きな狼。

良く見ると、少年の立っている周りは、ドス黒く変色し粘ついた血が辺りにこびりついて、腐臭を漂わせていた。

その周りには沢山の死骸が存在していた。

血に真紅に染まっている場所から、ある一定の間合いの先に紅い斑点が存在していた。

紅い斑点は大量に存在し、少年を睨みつけているようだ。

その紅い斑点もまた、少年が作り上げたものであるが………殺されるだけに存在しているだけである。

彼等からして見れば、溜まったものではないであろう…….…

これも少年がさらに強くなるため…でもあった。

後のために…………







 







斑点の先からは、獣の唸り声や昆虫のカナキリ声が響いてくる。




グルルルルルル………キリキリキリ…………………





少年の声が響く。


「ククク……まだ…まだだ………まだ足りない……」

「この程度では………まだ足りない……もっと…もっとだ…」



少年は紅い斑点のほうを、睨みながら口を開く。




「さぁ!!……かかってこい…生き残りたければ…」













少年の一言で紅い斑点の先から、何かが飛び出して来る。

それは、三っ首の獣と巨大な鎌を持った昆虫で、獣の方は神話に出て来る、ケルベロスの様であった。

昆虫の方は、巨大鎌を持った巨大な蟷螂の様だ。

白狼が牙を剥いて、それらに対して唸るが、少年が手を出して制止させる。

猛犬が牙を最大に剥き出し、蟷螂も巨大な鎌を構え、猛犬の方が先に襲いかかる。

その後に続く様に、同じく襲いかかる。

猛犬が牙を剥き出し、飛び掛かるが、それを軽く躱すと懐に入り腕に力をこめて、腹を貫き引き裂く。

腹を貫かれながらも、残る力で噛み砕こうとするが、それも虚しく、簡単に三つの頭を叩き潰され沈黙する。

返り血を浴びながら、その死に様を見て、クククと笑っていた。

猛犬に止めを刺し、気がそれているのを狙い、蟷螂が巨大な鎌を振り落とす。

それを難なく、躱そうとするが間に合わなく、右腕を切り落とされる。

切り落とされた、右腕から血が吹き出し、あたりを真紅に染める。

腕を切り落とされた、少年は別に痛がることもなく、気にもしていない。

今も腕から血が流れ出ているのにも関わらず。

残りの左腕で、蟷螂の両鎌を叩き潰す。

鎌を潰された蟷螂は、悲鳴の様な鳴き声を上げるがそれも、意味なく頭を潰され沈黙する。

ほんの数分の出来事であった。




「まだ…だ……まだ……足りん。」




少年がそう言うと斬られた右腕が、ブクブクと泡を吹き始めた。

見る見るうちに、少年の右腕が治り始める。

ものの見事に再生した。

治った右腕に力を込めながら、先方を見る。






















その断末魔を聞いた、紅い斑点がいや、彼らの仲間が騒ぎはじめた。

今度は、少年自らがその中に飛び込んでゆき、白狼はその場に待機するようにしていた。

少年が飛び込んだ、中は先程、少年が始末した化物や、その他の異形の化物が数多く存在していた。

少年は飛び込むと、それらに襲いかかった。一瞬にして彼らの間合いに入り、攻撃し始まる。

化物の頭を潰したり、体を引き裂いたりしながら殺しまくり、彼らの断末魔が響く。

彼らも、応戦するように牙や爪を剥き出しにして襲いかかる。。

少年は別に、気にすることなく殺し続ける。

大量の返り血を浴びまくりながら。

強靭な体を持つ彼らですら痛みを感じるのに、少年にはその気配すらない。

そして、少年が飛び込んでから、彼らの断末魔が響いてくる。

それから暫くして、あたりのざわめきが止み、一斉に静かになった。

それと同時に、紅い斑点も消えてなくなる。

その中から、さらに真紅に染まった、少年が姿を現す。

所々が、怪我をしていて、左目が潰れていて、内臓が食み出していた。

痛みを感じることもなく、歩む。

少年が歩く、度に血がポタポタと滴り落ちる。

見るだけで、吐き気がするほどの姿であった。

そんな傷も、見る見る内に修復していく。

少年が現れると、同時に暗い視界が一瞬だけ、晴れる。

周りには、沢山の化物の死骸の山が出来上がっていた。

死骸は頭が潰れていたり、胴体を引き裂かれたりしていた。

少年は口を開く。







「まだ…まだ…この程度では…足りない。」

「クク……でも今はもう疲れた……」














そう言うとその場に、倒れこみ眠り始める。

倒れこむのを見て、白狼が間に入り枕がわりになる。

自らが汚れることも、気にもしないであたりまえのように。

血に汚れた少年の顔を舌でペロリペロリと綺麗にして拭き取っていく。

気にすることなく、寝息が聞こえ始めた。

寝顔は信じられないほど………である。

しかし…僅かであるが身体に変化は訪れていた――――――――

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